ドンナイ省と日本との経済交流が活発化
- 2021/05/08
この5年間でドンナイ省と日本の経済交流は輸出、投資ともに拡大し続けている。現在、日本はドンナイ省にとって世界第3位の投資国であり、また、第3位の輸出先でもある。計画投資局によると、これまで日本は登録投資総額49億ドル、計262件の事業を同省で展開してきた。新型コロナの感染が確認されてから1年以上が経っているが、日本企業による新規事業や増資による事業拡大は止まらない。
経済交流の活発化に向け合意
先日、ドンナイ省人民委員会は近畿経済産業局(METI-Kansai)と、下請企業の成長促進、工業分野における高度人材の育成および派遣、省エネによる環境保護の連携強化に向け、3年間の効力を持つ合意をオンライン形式で結んだ。これに加えて、両者はその他の分野でも協力関係を深めることで合意をしている。近畿経済産業局の米村猛局長は、「日本政府はサプライチェーンの再構築を行っているところで、ベトナムは日本企業の投資先として最も期待されている国です。ドンナイ省には関西デスクが設置されており、各種手続きへのサポートをいただき、所要時間を短く済ませることができるため、多くの日本企業から進出先として選ばれています。」と述べた。
ドンナイ省に進出する日本企業の大多数がパソコンや電子機器、機械設備やその道具・部品類などの企業であるため、同省は原材料供給の中心地の1つとなることができた。在ホーチミン日本国総領事の渡邊信裕氏は、新型コロナによって日越間の往来が制限され、進捗が滞っている事業も少なくないが、制限が解除されれば多くの日本企業がドンナイ省に進出し、新規事業や事業拡大を行うだろうと考えている。
FTAの恩恵を受けるドンナイ省
ベトナムと日本は2国間・多国間を合わせると以下、計4つの自由貿易協定(FTA)を締結している。
▼日本・ASEAN経済連携協定(AJCEP)
▼日本・ベトナム経済連携協定(VJEPA)
▼環太平洋パートナーシップに関する包括的かつ先進的な協定(CPTPP)
▼東アジア地域包括的経済連携(RCEP)
これらのFTAによって日本企業の投資がベトナムに集まり、ドンナイ省も競争力を強化することができた。ホーチミン日本商工会議所の有賀正宏企業交流委員長は、FTAはベトナムと日本の経済発展・経済協力にとって大きなチャンスをもたらしたと述べ、ドンナイ省は工業の中心地であり、港が近くホーチミン市も隣接しているため、潜在的可能性や物流の観点で日本企業から非常に重要視されていると評価した。
この3年間ほどで日本企業とベトナム企業との提携は強化され、原材料の輸入を抑えるため互いに第1次製品を供給しあっている。また、他の省・市と同様、ドンナイ省にも日本企業向けに製品を供給するベトナム企業が集まり、靴や縫製品などが日本へ輸出されている。
省人民委員会Cao Tien Dung(カオ・ティエン・ズン)委員長は、「日本の事業は先進的な技術を導入しており、省が重点を置いている分野へ投資をしています。今後、省は関西デスクを通じて経済協力を促進し、これまで、そしてこれから省へ投資をしてくださる日本企業が円滑に活動できるよう、有利な条件を整えていくことをお約束します。」と評価した。コロナ禍にもかかわらず、この1年強で日本からのドンナイ省への投資は3億米ドル近く増加している。また、2020年のドンナイ省と日本の貿易総額は30兆米ドルを超え、ドンナイ省の貿易黒字はおよそ20億米ドルと、米国に続き世界第2位の規模となった。
ホーチミン市に隣接するドンナイ省は、港湾などの重要な物流施設を有するほか、ロンタイン国際空港の開発も進められている。経済のグローバル化が進むにつれ、ドンナイ省は地の利を生かし、日本を含む各国との貿易や投資誘致を活発化させていくだろう。(ベトナムニュース邦訳ライター 鶴田 志紀)
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