日本企業の対ベトナム不動産投資が多様化
- 2021/06/05
日本企業による対ベトナム不動産投資が、これまでの住宅やホテルから、オフィス、複合開発、工業用地の分野に多様化している。
計画投資省外国投資局によると、4月20日時点での不動産分野に対する海外直接投資(FDI)は12件、7億7,560万米ドル超に達し、全体の14.1%を占めた。パナソニックは2,550万米ドルを投入し、フンイエン省タンロン2工業団地で2万1,800㎡の工場建設事業に参画している。工場は2023年1月から2024年3月に建設され、翌4月から稼働される予定だ。また、株式会社高島屋の連結子会社である東神開発株式会社は、今年3月からチュントゥイグループと提携し、住宅・オフィス・商業分野からなる複合開発事業をハノイで展開する。東神開発社ホーチミン事務所の佐藤所長は、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)が発効されたことでベトナムの不動産需要が高まるだろうと期待している。
高島屋グループの村田善郎社長によると、同グループはベトナムでの投資を様々な分野に拡大する方針である。2016年に初の店舗をホーチミンに建設した後、2020年末にはハノイの不動産開発事業「スターレイク・プロジェクト」へ参画し、1,250万米ドルを出資し、K−12制度を導入した教育施設を開発することを発表した。そして、2022年~2025年にかけて小売分野を含む複合開発事業を行う予定である。
ホテル分野では、鹿島グループがインドチャイナキャピタル社と10年間で20件のホテルネットワークを構築し、ハノイ、ホーチミン、ダナンに観光複合エリアを開発する。投資額は10億米ドル超となる予定だ。1件目のホテルが今年3月にホーチミン市で正式にオープンし、4月にはビンディン省クイニョン市で2件目の高級リゾートの開発が着工されている。
住宅分野では、日本企業による参画が広範にわたっている。2020年末には、野村不動産グループがエコパークグループと提携し、フンイエン省でベトナム最大規模の分譲住宅エリアの開発に参画した。当事業では、住宅3,000~4,000戸が2024年~2025年に販売される予定だ。また、ホーチミン市でも2015年にフーミーフン開発社と提携し、分譲住宅事業やオフィスビル事業を展開する。そして、同グループと三菱商事は共同で、ビンホームズ社が推進するグランドパークプロジェクトの第2期開発に参画し、21棟、1万戸超の分譲住宅を販売する。このほか、サムティ、クリードグループ、大和ハウス工業、住友フォレストリー(住友林業)など、様々な日本企業がベトナムの不動産市場に参入している。
経済の急成長を果たしたベトナムでは、都市開発真っ只中の段階で、不動産市場の伸びしろは大きい。日本とベトナムは人口密度も近く、東京や大阪などの都市開発で蓄積されたノウハウが、ハノイやホーチミンの事業にも活かされるだろう。(ベトナムニュース邦訳ライター 鶴田 志紀)
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