シオノギ製薬がベトナムにワクチン生産技術を移転
- 2021/08/07
シオノギ製薬は、第一ワクチン生薬製造会社(バビオテック)およびAICグループとワクチン生産技術の移転について合意を結んだ。
7月27日、保健省科学技術訓練局のNguyen Ngo Quang(グエン・ゴー・クアン)局長は、遺伝子組み換えタンパクワクチンの生産技術であるSARS-CoV2スパイクタンパクの遺伝子組み換え(バキュロウイルス発現 ベクターシステム)が技術移転されると発表した。現在、ワクチンや技術に関する機密保持契約書を締結したところである。NHKによると、シオノギ製薬は日本国内における新型コロナウイルスワクチンの開発・生産にバキュロウイルス発現ベクターシステムを応用している。同社が開発しているワクチンは、ウイルス遺伝子の組み換えによって新型コロナウイルスタンパク質を人工的に生み出し、体内の抗体をつくる。
7月7日付のジャパンタイムズでは、日本国内で初めて生産される新型コロナワクチンはシオノギ製薬のワクチンとなるだろう、という同社代表の発言を引用した。現在、ワクチンは臨床試験段階にあり、同社は治験の拡大を計画している。東南アジアやアフリカの感染地域でも治験の実施を検討しているところだ。
保健省傘下のバビオテックは、ベトナムでワクチン開発を進めているメーカーの1つであり、長い歴史を持つ会社である。バビオテックおよびDS-Bio社は、これまでにロシア直接投資基金(RDIF)と合意を結び、スプトーニクVの生産を7月から開始した。国内初のワクチン生産ラインでは約3万回分が生産され、品質確認のためロシアに輸送された。品質確認の結果は8月10日までにわかる予定だ。そして、8月中に生産を開始した後に50万回分を生産し、その後は1か月あたり500万回分の生産を見込んでいる。生産技術の移転を進め、年間1億回分の生産を目指す。
米国も今年5月にビングループに対してmRNAワクチンの技術移転を行っており、8月の治験実施に向け保健省が指導を行っているところだ。ビングループの工場では、米国工場の基準に基づいて設備が導入されており、年間生産能力は1億~2億回分となる。
ベトナムでは、4種類の国産ワクチン開発や各ワクチンメーカーとの契約締結など、各方面からワクチン確保に向けた取り組みが行われている。ワクチン普及は現段階ではあまり進んでいないが、自国内での製造が拡大すれば、十分な量のワクチンを安定供給できるようになるだろう。(ベトナムニュース邦訳ライター 鶴田 志紀)
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