協同組合や中小企業を対象に加工・保管技術を強化へ
- 2021/09/02
農業・農村開発省Phung Duc Tien(フン・ドゥック・ティエン)副大臣と省のワーキンググループは、ベトナム農業工学・ポストハーベスト研究所(VIAEP)と会議を行い、農産物の生産・加工・販売能力を向上させるため、農産物の保管に関する現状を確認した。その中でティエン副大臣は、ベトナムの加工技術はまだ低く、農産物が供給過剰となっているときもあれば、一方で不足しているときもあるとして、まずは農産物の保管・加工について課題を解決する必要があると強調した。
VIAEPのPham Anh Tuan(ファム・アイン・トゥアン)所長によると、同研究所はこれまでにバクザン省、ハイズオン省の加工施設5か所で日本向けに輸出するライチのパッキング技術移転を行ったり、フンイエン省の施設でロンガンの加工プロセスに関するセミナーやガイダンスを開催するなど、各地で農産物の保管や加工に関わる企業に対して技術的な支援を行ってきた。これを受けてティエン副大臣はVIAEPに対し、ライチやリュウガン以外の品目が日本といった舌の肥えた市場でも受け入れられるよう、これらの保管・加工モデルを一般化させるよう求めた。
研究戦略について農産物加工・市場開発局のNguyen Quoc Toan(グエン・クォック・トアン)局長は、保管と加工はバリューチェーンにおいて非常に重要なプロセスであり、協同組合や中小企業からのニーズが極めて高いと述べた。また、ティエン副大臣は、技術があるものの、導入にあたってその効果を維持するために設備の質を上げなければならないことが現時点での問題だと指摘する。
栽培局によると、栽培分野の生産量は非常に多いが、畜産物や水産物よりも時期に合わせて生産され、小売りされているものが多く、販売・保管期間が短い傾向が強い。また、輸出される製品は多数が生鮮物にとどまり、保管条件の兼ね合いで輸出先は近隣国に制限されている。そのため、VIAEPが研究を行い、加工・保管プロセスに参画する余地は大変大きく、まずは協同組合や中小企業に対して集中的に取り組んでいくと栽培局のNguyen Nhu Cuong(グエン・ニュー・クオン)局長は述べた。
各参加者の意見をヒアリングしたうえでティエン副大臣は、持続的な成長を遂げ、農産物の付加価値を高めるために、農産物の加工を優先的に取り組む必要があることを強調した。また、協同組合や中小企業に対して、製品を生み出していく研究戦略を進めていくことを再確認したうえで、大企業との連携へつなげていくことが必要だとした。
近年、ベトナム産農産物の輸出拡大に向けた動きが進んでおり、日本では新たにライチやドラゴンフルーツの輸出が始まったところである。ベトナムは元来より農業輸出国であるため、農産物の加工・保管技術が向上すれば輸出品目、そして取引国が多様化し、また付加価値向上に伴って収益も伸びていくだろう。(ベトナムニュース邦訳ライター 鶴田 志紀)
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