FDIを受けるのは簡単で難しいこと
- 2020/06/01
ベトナムは多くのFTAに参加していること、COVID-19をよく制御すること、地理的優位性のこと、という利点がありますが、FDI誘致競争においてベトナムは「(投資移転を誘致する)磁石」というだけではありません。
政府の評価のとおりに、現在、ベトナムはCOVID-19の流行により多くの困難に直面していますが、中国から資本移動を受ける機会もあります。
日本経済新聞は、米国のテクノロジー企業が第2四半期にベトナムでAirpodsを300〜400万台の増産、ワイヤレスヘッドセットモデルを約30%増産したと述べました。ベトナムでのAirPodsの生産は3月に始まり、何百万のAirPodsがベトナムで生産されたのは初めてです。アップルは最近、エンジニア、運用マネージャーレベル以上のポジションのベトナムの人材を採用しています。
4月末にVNダイレクト証券が発行したレポートでは、グーグルとマイクロソフトが中国からベトナムとタイに一部の生産ラインを移動していることも言及されています。
投資シフトの波は中国からのシフトに留まりません。日本経済新聞などによると、パナソニック株式会社は、タイ・バンコクの白物家電工場を早ければ今秋にも閉鎖して、より規模が大きいベトナム・ハノイ市近郊の工場に生産を移管します。
SSI証券株式会社のレポートによると、ペガトロン、アマゾン、ホームデポなどの多くの大企業が採用を開始し、サプライチェーンを探し始めたところです。タイ、インドネシア、マレーシアの他、ベトナムも目的地の一つです。
サビルスベトナムのディレクターのス・ヴァン・クオン博士は、多国籍企業にとって生産拠点の一部を中国から移転したことは、リスクを最小限に抑える方法だと話しました。
インドネシアに比べてベトナムは中国に近いため、交通距離は利便性があります。これにより、投資家は中国での生産施設を放棄せずに、簡単に新しい施設を追加できます。
コリアーズ・インターナショナルの第1四半期の、東南アジア諸国の入居率と、工業団地の賃料のデータでは、ベトナムは平均賃料が、タイ、マレーシア、インドネシアなどのより45~50%低く魅力的であることを示しています。 2019年のジェトロのレポートによると、ベトナムの人件費はタイ、マレーシア、インドネシアよりも低いです。
計画投資省外国投資局元局長のファン・フー・タン氏は「ベトナムにとって、COVID-19の制御に成功していることはプラスポイントです。 1つ目は「安全」です。投資家はベトナム人だけでなく外国人も可能な限り最高の医療を受けることも見られます。2つ目は、長年にわたる継続的な経済発展のおかげで、投資家は「黄金の機会」を目にしています。」と、サイゴンタイムズが主催したセミナーで発表しました。
しかし、ベトナムが「この波」をうまく歓迎したい場合、まだ多くの課題があります。ベトナムだけではなく他の国も「磁石」となり得ます。ベトナムにとっての機会ではあるが、ベトナム固有のものではないことを認識する必要もあります。
インドは、中国にも隣接しており、生産フロー移動を引き付ける可能性があります。最近、ブルームバーグ(Bloomberg)はインドの当局者の話を引用して、4月に政府は1,000以上の米国企業にアプローチし、中国への移転を検討している企業にインセンティブを提供したと述べました。インド政府は、医療機器、食品加工、繊維、自動車部品を提供するサプライヤーを招待することを優先しています。
インドは企業に、総コスト面では中国より高いが、土地や熟練労働力の点で米国や日本よりも安いと説得しています。彼らは労働法の変更に関する特定の要件を検討し、電子商取引の税繰延提案を検討することを約束しました。
ファン・フー・タン氏は「総外国投資資本は1兆3,000億ドルから1兆ドルぐらいに減少しています。アジア諸国との競争が激しくなります。 制度的メカニズムを完成させるために主張から現実まで、具体的な計画を概説する必要があります」と述べました。
資本フローの質も重要です。ベトナム商工会議所WTO センター(VCCI )の所長であるグエン・ティ・トゥ・チャン氏は「投資を誘致する機会には、重要な製造業が買い占められる、投資の質が低いという課題が伴います。」と述べました。
チャン氏は、この生産シフトについて「単なる加工の国家のイメージから逃れる決意を伴うべきです。同時に外国投資の誘致が高まると、国内企業との競争圧力が高まるのでベトナムは提案や対策を検討する必要があります」とも話しました。
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