政治・文化の中心地

ベトナムの首都であり、政治の中心地であるハノイには、国会議事堂や各省庁など国の中枢機関が集まっています。また、ハノイは文化の中心地としても知られており、旧市街を中心に歴史的建造物や遺跡が残っています。かつて王朝が都を置いていたタンロン遺跡は、2010年に世界遺産として登録されました。

このほかにも、聖ヨセフ大聖堂、ハノイ歌劇場（オペラハウス）など、フランス統治時代に建てられた洋館や教会も多く存在しています。市内は緑が豊かで景観も美しく、観光地としても魅力的です。

地域の特徴および気候

ハノイは紅河下流の平野に位置しており、市内にはタイ湖（西湖）やホアンキエム湖をはじめ、湖や池が多い街です。

11月～4月が乾季、5月～10月が雨季とされており、緩やかな四季の変化があります。6月～8月には最高気温35℃を超えるような猛暑日となり、降水量も多いため、蒸し暑く感じるでしょう。この時期にはスコールが発生することも多いです。

一方、冬の12月末～2月にかけては15℃前後まで気温が下がり、時には10℃以下にまで冷え込むこともあります。この時期には雨も少なく、比較的乾燥します。

交通インフラ

市内にはノイバイ国際空港があり、日本の各都市から直行便が就航しています。東京からは約5時間半で行くことが可能です。また、国内の主要都市を結ぶ路線が就航しています。

高速道路も発達しており、北部の各都市を結ぶハノイ～ハイフォン間高速道路や、中国との国境があるラオカイへのハノイ〜ラオカイ間高速道路など様々な高速道路が展開されています。

加えて、市内では都市鉄道が建設され、運行に向けた準備が進められています。ハノイ市内では圧倒的な量のバイクや自動車が走っており、これまで大気汚染や渋滞が社会問題となってきましたが、都市鉄道の開通によって、これらの問題が緩和されることが期待されています。

主な産業

ハノイは紅河デルタ地域、そしてベトナム全体の経済成長の原動力となっています。

2020年には新型コロナが拡大しましたが、ハノイの域内総生産（GRDP）は+3.98％の成長率で、全体で1,016兆ドン（約5兆800億円相当）、1人当たり1億2,270万ドン（約61万円相当）となりました。内訳は

農林水産業が2.24％、工業・建設業が23.67％、サービス業が62.79％、 税金（補助金除く）が11.3％となっています。

農業では、地理的な特長を生かして稲作が行われている地域があるほか、安心して食べられる高品質の野菜の生産・供給にも力を入れています。また、工業では、多数の工業団地に加え、ハイテク工業団地の建設も進められています。そして、サービス業では、他地域と比べて所得水準、そして購買力が高いため、小売・サービス、教育、不動産など様々な発達しています。

高い教育水準

ハノイにはベトナム国家大学ハノイ校、ハノイ工科大学をはじめ国内トップクラスの大学や研究機関が集まっています。日本の大学・企業と提携している大学も数多く存在し、2016年には日本の支援により日越大学が設立されました。ハノイは、ベトナムでも有数の若く優秀な人材が集まる都市だと言っても過言ではないでしょう。