ベトナム中部クアンナム省エンジニアリングプラスチックの部品成形・組立製造メーカー/インチプラスチック有限会社

インチプラスチック有限会社の従業員の皆様

100度以上の耐熱性を備えた強度の強いプラスチック

プラスチックは開発された当初は成形はたやすいものの、熱に弱く強度は低いものとされていた。

そこへエンジニアリングプラスチックが開発された。

熱を加えると成形がしやすいというプラスチックの性質をもちながら、成形後は100度以上の耐熱性を備え、強度も強いプラスチックのことだ。石油を原料とすることでプラスチックの大量生産が可能になると、金属に代わってあらゆる産業で「部品」として用いられるようになった。

現在では自動車・オートバイ部品にはじまり電子機器、家庭用電化製品に広く使われる素材として、現代生活に欠かせないものとなっている。

インチプラスチック社について

創立者であり社長のダオ・ゴック・フン氏にインタビュー

今回ご紹介するインチプラスチック社はそのエンジニアリングプラスチック、略称エンプラを素材とする電子・電気・自動車・オートバイ部品を製造するメーカーだ。

お話を伺ったのは同社の創立者であり社長であるダオ・ゴック・フン氏である。

尚、このインタビューはZoomを利用したリモート取材であることをあらかじめお断りしておく。

私は元商社マンであり、商社マン当時は取引先の工場訪問を楽しみにしていたので、コロナによってリモート取材が一般的になったことを喜びながらも、実際工場や農場、現場を訪れる機会が失われたのは、一方でさみしくもある。もちろんリモート取材であれば、ハノイにいながらにしてベトナム全土の工場や企業の社長や会長を取材し、紹介できるというメリットは非常に大きい。

インチプラスチック社の工場の様子

創立は2019年、ベトナム中部の都市・ダナン市から車で30分

インチプラスチック社の創立は2019年だ。工場はベトナム中部の都市、ダナン市から車で30分にあるディエンナム・ディエンゴック工業団地にある。16〜17世紀に日本人町があり、「日本橋」との別称のある古い橋が残るクアンナム省ホイアンにほど近い工業団地だ。

創立者であるフンは大学で建築を学んだという。卒業後14年間は、建築とは関係のない機械、金型メーカーで働いた。そしてそれが彼をしてエンジニアプラスチック部品のメーカーを立ち上げるきっかけとなった。

彼は射出成形のプラスチック会社を立ち上げるにあたって、多くのベトナム企業がまだ十分に対応できていない分野、精度の高いエンジニアリング・プラスチック製品を欧州や米国、日系企業に提供する工場を立ち上げたいと考えた。

ベトナムの裾野産業への期待、発展について

ベトナムにおいては自動車・オートバイ、家電関係の組立を行う外資系企業が多数進出したが、思ったように裾野産業が発達してこないことが、ベトナムの経済・産業の将来に影を落としている。

大手組立メーカーは海外から部品を輸入したり、素材、部品の工場を誘致したりしてしのいできたが、現地調達比率が高まらなければ、せっかく根付いた労働集約的な産業もさらに賃金の安い国を求めてベトナムを出ていってしまうだろう。ベトナムの裾野産業の発展が期待されているのはそれゆえだ。

裾野産業(すそのさんぎょうとは
自動車や電子機器などの最終製品の製造に際し、多種多様な部品・部材を供給する産業のこと

岡山県庁サイトー ベトナムの裾野産業の現状について

インチプラスチック社が提供している製品について

自動車・家電用プラスチック部品の成形・組立

数はまだ少ないとはいえ、先進国の組立産業に対して精度の高い部品供給を試みるベトナム企業も現れてきている。Intplastic社はその一例といっていい。

同社には現在85名の労働者がある。中国製の真新しい射出成形機も工場に並んでいる。

同社の製品は自動車・オートバイなどの部品、エアコンや冷蔵庫といった家庭電化製品の部品を生産することができる。同時に汎用プラスチックによる家電、電子機器の筐体やプラボトルといった射出成形品も生産できる。

インチプラスチック社の取扱素材一例

同社では各種プラスチック素材を扱える。
汎用プラスチックであるポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ABS樹脂に加えて、エンジニアリングプラスチックであるポリアミド(PA)、ポリエステル(PET)などのプラスチック素材でも対応が可能だ。

プラスチック成形および電子製品組立メーカー インチプラスチック社の組み立てライン

インチプラスチック社の強み、組立ライン

また同社の強みは組立ラインをもっていることだ。射出成形で生産されたプラスチック部品を組み立てたアッセンブリーとしての提供もできることが特徴だ。

コロナで売上は30%も落ち込んだが、ロックダウンを経験しながらも生産は続けることができたそうだ。すでに米国やドイツへの輸出も実現している。2022年の売上実績は400億ベトナムドン、約170万米ドルにまでなった。


ただそれでも工場の能力の45%程度を利用しているに過ぎないとフンはいう。工場の能力を最大限に引き上げるために、これから日系企業にも販路を広げたいとの意向だ。

製品の対日輸出の実現に向けて

フン社長の取材の際に隣で微笑まれている女性がいたのだが、紹介してもらうのを忘れていた。最後にフン社長にとなりの女性をご紹介してくださいとお願いしたら、私の妻です、と紹介をしてくれた。

彼女は「私は夫と二人でこの会社を経営しています」と自己紹介。
彼女は元ダナンにある日系企業に勤めていたこともあり、日本語もできるそうだ。そして現在はIntplastic社の営業部長だという。まさに同社はフン社長夫妻の二人三脚で運営されているといっていいだろう。

お二人の間には二人の子供がいるという。日系企業のパートナーを早くみつけて、製品の対日輸出を実現し、ベトナムの裾野産業発展のために貢献したいと夢を語るフン社長と、彼の妻であり、営業部長のトゥー・チャムさん。ぜひ応援をお願いしたい。

プラスチック成形および電子製品組立メーカー インチプラスチック社の外観

インチプラスチック有限会社 概要

インチプラスチック有限会社
INT PLASTIC CO.,LTD

プロフィール

2019年ベトナム中部クアンナム省に創業。社長はダオ・ゴック・フン。主な事業内容はプラスチック成形および電子製品組立。事務所・工場面積は1万平米。2022年売上は400億ベトナムドン。家庭用または工業用プラスチック製品の外部委託ニーズのある企業との提携を求めている。

>> この企業のプロフィール情報を見る

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